吉原多美江
ある日本人の男性で私同様、ブラジルに30年近く住んでいる人がおりますが、彼はブラジルのどこが良くて離れられないのか聞かれると、「いやー、女ですよ。女」といつも答えています。彼に言わせるとブラジル人の女性は日本女性と違い、「情が深い」とのこと。情が深いから、嫉妬深い。これは男も女も同じ。うちの二人の娘もブラジル人です。恋人が出来て相手が嫉妬してくれないと不安になるようです。余り愛していないではないかとね。だから、二人とも、時々、相手を嫉妬させるように仕向けるようですね。
でもね、愛と嫉妬とは無関係の関係ですよね。愛があるから嫉妬する訳ではない、つまり、嫉妬は所有欲の証であっても、愛の証ではないですよね。しかし、嫉妬する人にこんな御託宣を述べても無理。愛しているから、人に取られたくない。だから嫉妬する。特に、浮気性の人程、嫉妬するようですね。これは心理学の用語では「プロジェクション(投影)」と言われる現象で、自分のことを相手に投影しているのですよね。自分が浮気だから、相手も浮気だろうと。でも、やきもちに全く根拠がないと言えない事情もブラジルにはあるのかも知れません。
非常に真面目で仕事を休んだこともなく、会社から家を往復するだけの生活をしていた男性がある日、ぽっくり行きました。彼の葬式に妙齢の女性が小さな子供の手を引きて来て、寡婦にこの子は亡くなった人の子供と告げる。びっくりした家人が、「こんな真面目な人が一体いつ」とかんおけの中の故人の顔をはたと見れば、その女性は「カフェジーニョ(※注)」の時間があったでしょと言う。ブラジルでは労働法で午後15分間のカフェジーニョの時間(休憩時間)というものが規定されているんですね。15分でも子供は出来ますからねぇ...。
日本の週刊誌などで男性の性生活についてのアンケート調査の結果などが時々出ていますが精々、週に1回前後ですよね。ブラジルにもその手のアンケート調査があるのですが、週3回前後との結果が出たそうです。日本の男性はびっくりしますね。でもこの3回は自宅での回数で、後3回は外でと言うと、もっとびっくりするでしょう?浮気と言っても日本人の浮気はほとんどホステスとか芸者とかプロの人相手が多いですよね。しかし、ブラジルの場合には相手は素人のことがほとんど。これがブラジルの離婚率の高い原因です。それに、感情をもろに出すブラジル人には自分に嘘をついて家族のために我慢するという芸当が出来ないことも離婚率を高めるのに寄与しています。
「家庭内離婚」という不思議な制度(?)のある日本では、夫婦の関係は冷え切っていても、離婚しないケースが多々ありますね。男性が定年退職をし、退職金をもらってから、おもむろに離婚して、その半分を頂戴し、自分の人生を生き始める女性も居るようですね。女性に自活能力がないことや、世間体、子供の養育など色々と原因はあるでしょう。しかし、ブラジルの女性には世間体や子供のことを考えて離婚しないだけの忍耐心はほとんどありません。例え、女性に自活能力がなくても、男性に他の女が出来ればこれを我慢する女性はまずありませんね。「亭主元気で留守がいい」というのは、長期に渡る「単身赴任」同様、日本特有の現象ではないでしょうか。亭主は元気で一緒に居た方が良いのが普通でしょう。一緒に居たくないような仲なら、結婚している理由はないですよね。
(※注)カフェジーニョというのはポルガル語のカフェ(コーヒー)に、縮小辞のジーニョが付いたもので、直訳すると”小さなコーヒー”という意味。
ブラジル人が大体、仕事中に熱くなった頭を少し覚ますためや、人を訪問した折りなどにデミタス・カップで飲むコーヒーのことを言います。
吉原多美江:有限会社エコブラス
http://www.ecobras.co.jp/
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