大学院生ポルトガル語研修に来伯
在日日系人に算数教えたい−子供に基礎学力を−
奈良教育大学大学院生の光長功人さんが現在、ポルトガル語の研修のため来伯している。専攻は社会科教育。光長さんは今年大学を休学、ブラジルで1年間ポルトガル語を学ぶ予定だ。目標は、在日日系人子女に「ポルトガル語で算数を教えること」。光長さんは「彼らは社会の中で弱い立場にある。子供たちを支えたいと思った」と渡伯を決めた理由を語った。
光長さんはもともと工学部の学生だった。教師を目指すきっかけになったのは1995年から97年まで、青年海外協力隊員としてアフリカのザンビアで理科教師を務めたことだった。日本に帰ってから通信教育で教員免許を取得。地元の小学校で講師を務めたとき日系人児童の日本語教育問題に出会った。
「子供たちは日本語も、ポルトガル語もできない。このまま彼らが日本にとどまった場合、どうなるのか」と、光長さんは語る。「せめてポルトガル語で子供たちに基礎的な学力をつけてやれないか」、そう思った光長さんは自費での渡伯を決めた。
今年2月、共同通信から次のようなニュースが配信された。「日本語教育が必要な外国人の子供は昨年9月時点で、公立学校に1万8432人在籍していることが22日、文部科学省の調査で分かった。(中略)文部科学省は『教育現場の国際化は、ますます多様化が進む傾向にある』としている(後略)」(2001年2月22日付)。ただしこの数字は学校に登録しているだけの数。「実際はもっと多いのでは」と、光長さんは考えている。
昨年8月、毎日新聞は、「大泉の日系人児童・生徒の4割が不登校」と報じた。
光長さんは、「学校に通わない子供たちは結局、日本語も母語も中途半端になってしまい本国に帰っても復学できなかったり、退学したりするケースも多いようです」と現状を指摘する。
こうした状況に対して行政側もただ黙って見ているわけではない。愛知県豊橋市では教育委員会がポルトガル語の学校案内、通知表などを配布、その効果も手伝って同市での日系人児童の進学率は高い数字を示している。岐阜市教育委員会は学校生活のための補助資料をポルトガル語のほか中国語、フィリピンのタガログ語で発行、配布している。そのほかにも、豊田市では「ほみぐりあ」という日本語教室を開設し、日系児童の日本語教育に務めている。ただ、こうした取り組みも地域ごとに限定されたものになっているのが現状だ。
教育現場の国際化は明らかに進行している。前述の共同通信ニュースによると現在、日本在住の外国人子弟の母語は65言語。そのうちポルトガル語が全体の約40%を占める。それに呼応するようにブラジル人学校が日本各地に進出、多いところでは生徒数が300人もいる。光長さんは「これは教育を受けたい気持ちの表れだと思う」と考えている。「日本の教育現場では今、ポルトガル語のニーズが高まってきている。ポルトガル語で教えられる教師を目指したい」と光長さんは意気込みを語った。
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