父親の千秋さん泣いて感激
石井幸恵バニア選手(26)がシドニーオリンピックの女子柔道に出場することが6日、正式決定した。5、6両日リオデジャネイロ市のガマフィリョ大学体育館で行われた選考試合で決まったもの。柔道部門では男女合わせてバニア選手一人だけが日系人。同日の試合では、ブラジル柔道界の英雄アウレリオ・ミゲル選手、セバスチオン・ペレイラ選手など本明視されていた選手が次々と敗退した。
名のある選手皆敗退
シドニーオリンピックの代表に決まった瞬間、バニア選手は観客席にまっしぐらに飛んでいった。そこにはブラジルオリンピック柔道の父、石井千秋さんがいた。家族で応援にきていた。ハニア選手は「パパありがとう」と叫んで千秋さんに抱きついた。「ユウ(幸恵)よかったね。頑張ったね」とねぎらい、末娘の肩を抱く千秋さんの目には涙がいっばいにあふれていた。
選考試合は5、6日と続けられ、最低でも七回、選手によっては10回もの試合を強いられた。実力と気力、スタミナとファイトのある者だけが勝ち残れる激烈な闘いが繰り広げられた。ミュンヘンオリンピックでブラジル柔道界に初めてオリンピックのメダルをもたらした石井柔道の「ネバー・ギブアップ」の精神が会場にみなぎる激しい選考会だった。石井さんは7日来社し、「名前だけでは決して勝てない試合だった。根性のある選手だけが生き残った」と全試合を観戦した感想を語った。
バニア選手(マイナス63キロ級、中軽量級)は最低の7回戦を戦った。準決勝ではローゼクレア選手に立て続けに2勝した。ローゼクレア選手はバルセロナ、アトランタ五輪に出場した強豪で、アトランタオリンピックの選考試合ではバニア選手が三対二で敗れている。今回、その雪辱を見事果たした。
決勝ではクリスチアニ選手に3対0で完勝した。3回戦とも投げて押さえて一本取っている。クリスチアニ選手は篠原道場の選手で、アトランタ五輪に出場している。今年6月に開かれたイタリア国際柔道大会では決勝でブラジル選手同士の戦いとなり、バニア選手は判定で負けている。父親の千秋さんは、「バニアは勝ち出すと止まらなくなる」と、絶頂期にあることを保証した。
バニア選手は石井千秋さんの三女。長女のタニアさんはバルセロナのオリンピックに出場している。バニア選手は四歳の時から父親、姉妹と柔道を始め、道場では男の子に交じってけいこした。中学ごろからめきめき腕を上げサンパウロ州選手権む、ブラジル選手権で優勝する。長女のタニア選手の後を追ってサンパウロ大学体育学部に入学。小松製作所女子柔道部が創設されたとき、同柔道部に留学する。女子実業団大会で小松製作所が全日本二連覇を飾り、バニア選手はその立役者となり優秀選手賞を受ける。帰伯し、南米大会五連覇。パンアメリカン大会二連覇、オーストリア国際大会優勝、フランス国際大会三位、ハンガリー国際大会3位、イタリア国際大会優勝、福岡国際大会三位、去年カナダで開かれたジョーゴスパンアメリカーノ大会では、ブラジル選手団の中で唯一金メダルに輝いた。
日系選手は今回、パリ世界選手権で三位に入った宮田フビオ選手(マイナス60キロ級)、内田ネイ選手(マイナス六七キロ級)、福田フアビォ選手(マイナス五三キロ級)、ルシアナ選手など軒並み敗退した。シドニーオリンピックな実行委員会へのブラジル選手の登録は8月10日。6月ごろまでに選考を終わらせなければならないところ、ミゲル選手が2月にけがをしたため、同選手のたっての願いを入れて選考会を8月まで延期した経緯がある。ペレイラ選手、ワラビオ・カント選手たち本命とされていた選手はすべて敗れ去った。
ブラジルからは女子5人、男子7人、総計12人(補欠12人)の柔道選手がシドニー五輪に出場する。
(ニッケイ新聞)