127(2002年04月12日)
ボランティア活動:慈善活動する日系人増加―ブラジル社会底上げに貢献
日系の福祉団体が開くイベント会場でボランティア活動に励む日系子女のグループをよく目にするようになった。団体の運営を支えるバザーや祭りに今や彼らの協力は不可欠になっている。日系社会の地盤沈下が叫ばれる中で、若い彼らの姿は頼もしく映る。多くのグループはその活動をコロニア外にも求めているのが特徴で、社会全体の底上げに貢献しようと意欲を見せる。勤勉、正直に加えた、新しい日系人像が生まれつつあるようだ。
そんな集まりの一つ、「モタ」。聞き慣れない呼び名だが、「持ちつ持たれつ」の略。一年ほど前、松柏学園のOB・OG約30人で会を立ち上げた。在学中に行っていた日系養護施設などでの慈善活動を卒業後も継続している。自前のユニフォームまでそろえ、結束は固い。
「ゆくゆくは貧しく、学校に行けない子供たちに勉強を教えたい」とメンバーの一人は夢を語る。迫る受験の勉強もあり、自分のことだけで精いっぱいの子も少なくないが、合間をぬって、積極的にボランティア活動に顔を出す。
近くNGOとして正式に認定される予定のグループもある。「モビメント・ジョベン(青年の運動)」がそれで、現メンバーは150人を数える。12歳から34歳まで。18を境に青年とリーダーのカテゴリーに分かれる。活動は5年前から始まった。
動きの発端はペルーにある。同地では「モビメント・デ・メノレス(未成年の運動)」の名で20年以上も存続しているという。ブラジルはその支部になる。毎年1月にはペルーで、7月にはブラジルで交流大会が開かれる。ボリビア、パラグアイといった今後、支部設立が期待されている地域からの参加もある。
「世界をより良くしよう」がモットー。そのため、活動は日系社会に限定しない。代表の清水伊重ジュニオールさん(28、日系2世)は「日系社会のことを大切に考えているが、日系だけが良くなることは難しい。それは周囲の社会が良くなって初めて実現する。開かれた活動を目指す」と説明する。清水さんは福祉団体「希望の家」の理事でもある。
ボランティアのほかに、会員相互の啓発および人材開発を念頭に置いた活動も行っている。ほぼ週一回のペースで寄り合い、討論会を開いてきた。話題は「市民権」から「創造性」まで多岐にわたる。「学校や企業では学ぶことのできない価値観にも目覚めたい」という意識がメンバーの中に強く浸透している。
「世界を良くするためには人間の持つ可能性を引き出すことが初めの一歩。どんな人間も同じ可能性を抱えている」とダニエラさん(29、4世)。職業は歯科医だが、やはり、子供の教育に関心がある。
ブラジルのため、世界のために何ができるか。日系人同士の集まりを基本としながらも、彼らの目線は地球規模だ。
(4月11日(木)ニッケイ新聞)