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BRAZIL 日系社会
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126(2002年04月02日)

議論百出の出稼ぎセミナー−いまや「ブラジル移民」―経済に左右されない構造

 サンパウロ州カンピナス市カンピナス大学主催の「出稼ぎに関する国際セミナー」が21日午前9時から、同大学教育学部貴賓室で開かれた。日伯両国から社会学、法学、教育学の研究者、在日ブラジル人学校の日本語教師などが集まった。さまざまな角度からブラジル人コミュニィティの変化や子供の教育について議論を交わした。
 カンピナス大学、名古屋大学、筑波大学が中心になり昨年4月から、共同研究が進められている。このセミナーはその成果発表の一環として企画された。国際交流基金が助成した。
 90年代、日本ではバブル経済が崩壊し、企業のリストラや倒産で労働需要が減退、02年1月に失業率が5・3%になっている。長引く不況にもかかわらず、在日ブラジル人は92年末に15万人だったのが01年初めには25万を超えた。太田市(群馬県)、浜松市(静岡県)、豊橋市(愛知県)などにブラジル人コミュニティが確立しているため。経済要因に左右されないで、ブラジル人が日本社会に流入する構造になっている。これに定住化志向の高まりが重なって、出稼ぎは既に「ブラジル移民」と表現すべき存在になった。
 最近、ブラジル人コミュニティ内で階層化が広がり始めた。日本全国規模で事業を展開する経営者を頂点にしたピラミッド型の共同体を形成している。ホームレス、売春婦、犯罪者たちが底辺をなす。
 警察当局に検挙されたブラジル人は九五年に、318人だった。00年には600人以上に増加した。受刑者は98年の72人から00年には2・6倍の188人になっている。00年には140人が少年鑑別所に入所し、このうち50人が少年院に送られた。青少年の非行は氷山の一角という。
 在日ブラジル人の子供は一般に、5歳から15歳の就学年齢期で6万人おり、このうち2万人が不登校と言われる。松本一子名古屋大学非常勤講師は、「実際には不登校児童の割合は5人に1人(20%)」と指摘する。  文部科学省が91年から実施している日本語教育が必要な外国人児童、生徒の数を調査している。この統計をそのまま不登校の人数として用いているからだ。日本語教育の不必要な児童、生徒も学校には在籍している。さらに、統計にはブラジル人学校の生徒は含まれていない。
 学習に必要な言語の習得は高学年になればなるほど、難しくなる。中学校にいきなり編入した場合、ほとんどが落ちこぼれるという。高校進学率は極端に低い。日本人の高校進学率がほぼ100%のため、出稼ぎの子供は学歴社会から脱落してしまう。
 駒井洋・筑波大学教授は、「教養を十分に身につけられなかった青年が社会の最底辺を構成しており、日伯交流の担い手になり得ない」と懸念する。
 今後、小・中学校を卒業できなかった外国人を対象に夜間中学を設置したり中学卒業認定試験で受験資格を外国人にも認めるなどの対応を国や自治体に求める必要がある。
 ブラジル学校は95年ごろから設立され始め、02年2月に全国で20校に増えた。現在、新たに12校が、ブラジル文部省の認定を申請中だ。「日本ブラジル学校協議会」が昨年3月、発足した。毎月、会合を開き子供の抱える各種問題を話し合っている。
 認定校20校は静岡、愛知などわずか9県のみに存在しているだけだ。さらに授業料が1カ月、約5万円で、ブラジル学校に通える生徒は限られてしまう。最低1県に1校はブラジル学校が欲しいところだ。

 ブラジル側では帰国出稼ぎ子女を受け入れる態勢がまだまだ整っていない。公立校でポルトガル語の補習授業を実施するよう教育局に働きかけるよう提言がなされた。
 川村リリ・カンピナス大学教授は、「職場、子供の教育などの分野で日伯両文化が衝突、融合することで、新しい文化様式の誕生が可能になる。それは出稼ぎ問題への解決にもつながる」と希望を持たせた。
 出稼ぎの抱える問題は解雇、社会保険の不加入という職場レベルの問題から、子供の不登校、ゴミの収集や騒音をめぐる地域住民との衝突など多岐にわたる。一筋縄ではいかないのが現状だ。このセミナーでも、確固たる支援策が打ち出せたわけではない。日伯両サイドがしっかり手を携えて取り組んでゆく必要がある。
 議論の内容は再度検討され、今年中に本にまとめられる。川村カンピナス大学教授は、「可能なら再度、セミナーを開きたい」と話している。

(4月2日(火)ニッケイ社会)


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