ブラジル日本移民 折り紙展 日本へ
大使館などで開催−笠戸丸、運動会など制作−感激して涙流す人も
サンパウロ折り紙研究グループ(GEO)は5月10日から、日本で折り紙展示している。「ブラジル日本移民」と題した展示は、今回で6回目。展示会の第一部は10日から20日まで、静岡県にある浜松国際交流協会で開かれている。第二部は23日から6月1日まで、東京のブラジル大使館内マナブ・マベ展示ホールで展示される。この展示会を準備するため、GEOから折り紙教師のケイコ・アベさん(65)とマリ・カネガエさん(42)が訪日した。
日本での展示会の目的は、ブラジル人と日本人の理解を深め、移住者の歴史を知ってもらうこと。1908年初めての日本移民を乗せてサントス港に着岸した笠戸丸、コーヒー農場や綿花農場での労働風景、入植地の運動会や祭り、ブラジルでもポピュラーになった日本固有のスポーツや料理など、移民生活のさまざまな場面が、折り紙によって繰り広げられている。ケイコさんは、「展示会で、作品を見ながら泣き出す人もいた。折り紙という素朴な媒体が、その人の人生を再現し、感動させる」と話す。
作品一つのサイズは、幅60センチ×奥行き40センチ。展示作品は、26場面からなる。日本移民の調査と作品制作に2年間かかった。折り方は、従来のものを応用したり、GEOが独自で開発したものもある。GEOが工夫した折り紙技術として、コラージュ(張り付け)がある。尺八や琴など折り紙では表現しにくい部分に使われた。ケイコさんは、「ある展示会で、琴の先生から弦が足りないと注意された」と屈託なく笑う。マリさんは、「GEOのメンバーが仕事の合間を縫って、努力してくれたおかげ。どの作品も創造力豊かで目を奪われます」と絶賛した。作品のすべてに日本、ポルトガル両語の説明パネルと、当時の写真が掲示される。
在日ブラジル大使館が、折り紙展示会を日本で開く提案をした。展示会は初め、2000年10、11月に行われる予定だった。展示委員会は、ブラジル移民を見送った神戸での展示も望んでいた。これは、展示費の都合で断念。同じく経費問題で、展示作品がそのまま日本に残されることになった。マリさんは、「展示作品を持ち帰る費用は、残念ながら得られなかった。これで、GEOの一つのサイクルを終了することになる。これからは、ほかのテーマを折り紙にしていくつもり」と新たなる意欲を燃やしていた。
GEOは1992年に、折り紙教師のマリさんを中心として創立。この折り紙展示作品は、折り紙愛好者たちによって95年、日本ブラジル修好百周年の記念事業として制作された。作品は、サンパウロ市にある映像と音響の博物館(MIS)、国際交流基金サンパウロ日本文化センターホール、リオデジャネイロ市ほか、パラナ州、サンパウロ州の各都市、の計22ヶ所の会場で展示され、2万人以上が展示場を訪れた。
(ニッケイ新聞)