小島金属労協顧問が講演‐人間的な企業環境で生産‐「労働は商品ではない」
小島正剛全日本金属産業労働組合協議会(IMF-JC)顧問は4日正午から午後2時まで、ブラジル日本商工会議所で「労使協議-世界の潮流と動向」と題して講演した。
人間的な生産環境をつくり出すことによって生産性が上がるなど、含蓄のある話をした。ブラジル生産性本部(IBQP)が企画した。
世界各地で労働組合と企業の関係を見直そうという動きがある。
企業側は労働者に対する認識を改めなければならない。労働は決して商品ではない。小島顧問は、「労働者を一人の人間として大事に扱うことにより、企業の生産がアップする」と強調する。良い労働者と良い機械を入れれば生産も売り上げも上がると考えるのは間違いだ。企業は新しい機械を入れた後に従業員を解雇するのではなくて、従業員を再教育することによって継続的に雇用し続ける方針に変えるべきだ。
労働者側は労働組合を利用し、団体を通して自分の意見を述べるようにする。労働組合を生かすには、企業と労働組合が普段から会議を重ね、意志の疎通を図る。労使協議は労使間の意志疎通に不可欠だ。
労使協議では、労働組合と企業が互いに信用することが大事だ。企業合併など直接労働者に関係することは、企業が事前に会議で打ち明ける。労働者もストライキを起こす前に、理由を会議で明らかにする。日本では上司が作業員と一緒に壊れた機械を直す、という光景がよく見られる。この方式はトップが命令するだけだった西洋でも受け入れられてきている。労使間では、そのような関係が必要だ。
ドイツのフォルクスワーゲン社は、従業員10万人のうち、3万人を解雇するプランがあった。企業は労使協議でそのプランを出し、労働組合と交渉した。その結果、雇用は確保され、条件として週35時間の労働を週28.8時間に短縮、賃金を16%カットした。従業員たちは、仲間が職場を追われなかったことに感謝し、職場での労働意欲が上がった。
ブラジルの労働法では、企業より労働者が優位にある。そのため企業が法に縛られ、労使関係がうまくいかないことがある。日ごろから労使の意志の疎通があれば、訴訟を起こす前に話し合いで問題をくい止められる。
小島講師は、「ブラジルの経済が成長するには、労使がお互いに歩みよることが大切だ。労使協議を行う企業が増えれば、ブラジルも変わっていくだろう。このセミナーにこれだけ多くの人が参加したということは、労使関係に関心を持つブラジルの企業が増えていることを示す。このセミナーが労使関係の改善に役立つとうれしい」と締めくくった。
経済セミナーには約40人が参加した。小島講師とともに池田敏雄サンパウロ総領事館首席領事、松本明博JICAサンパウロ事務所次長、IBQPから和田晴夫アドバイザー、桑田信之アドバイザー、カッセン・M・E・サイエッジ生産運動管理役が同席した。