日系高齢者を論文に書いた-名取さん「学長賞」の総代昭和女子大学を卒業
卒業生930人余中1番の成績
[既報関連]卒業論文「ブラジル日系人の高齢期の生活と社会福祉」を書いた日本企業駐在員の夫人、名取賜子(ますこ)さん(55、自宅横浜市)が、去る3月8日、昭和女子大学を卒業した。名取さんはこのほど、卒業生930余人中、1番の成績で、「学長賞」の総代になった、と伝えてきた。論文は、増し刷りされ、多くの関係者や学術機関に寄贈されている。このことについて「私個人の嬉しさというより、ブラジルに関心を持つ多くの人々に日系高齢者のことを知っていただける機会ができたことを嬉しく思っている」といっている。
名取さんは、去る2月28日、ブラジルから帰国、3月1日、卒業論文発表のリハーサル、2日が本番だった。「時差が残っているわりには、われながらしっかり発表できたと思う」とサンパウロの知人に知らせてきた。
論文を書くにあたり、名取さんは上智大学の図書館とイベロアメリカ研究所にある文献を利用した。お礼にサンパウロで集めた資料の一部を寄贈、その際、論文も上智大学のブラジル・ポルトガル研究所に送付した。同研究所で論文を蔵書にすることが決まったという。
昭和女子短期大学部の教師からも論文を一部大学にほしい、という要請があり、一部だけでなく、世話になった教授たちにも贈った。
さらにゼミを指導してくれた教師を通じ、中央法規の編集者から「論文をコピーしたい」と要請があり、これを承諾した。ブラジルについての論文をまとめるため、近くブラジルを訪問する他大学の教授が資料集めの際、中央法規に照会したのだった。
また、さきに本紙でも転載した、毎日新聞の記事(テーマ「母」)で、憩の園の上野ハルノさんを取り上げた小国綾子社会部記者に連絡をとり、移民問題を記事に取り上げてほしい、旨連絡し、去る14日、取材を受けた。名取さんとしては、小国記者の記事のなかで、卒論テーマが書かれればいい、という思いがある。取材を受けたこと自体が、ブラジルの日系高齢者にできるだけ多くの人たちが関心をもってほしい、と願う行動であった。名取さんは、来月から官庁廻りを始めるという。
今回の知人への書信のなかに、日系人福祉に関わる人たちに対して、一つの助言があった。「一番に行動を起こしてほしい。行政(日本政府)に対し、自分たちが受けることができる権利を訴えることは、恥ではなく、当然の要求であり、行動だ。日本の福祉は申請主義で、行政のほうから援助をしてあげましょう、とは永久に言ってきてくれません」。
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